部分矯正

八重歯や出っ歯は部分矯正で治る?

八重歯や出っ歯は部分矯正で治る?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

部分的に気になる部分の歯並びを治すのが部分矯正です。部分矯正では主に前歯6~8本の歯並びが対象になりますが、八重歯や出っ歯は部分矯正で治るのかご説明します。

八重歯は部分矯正で治らない場合が多い

八重歯

八重歯は主に4番の歯が歯列から歯が飛び出た状態のことをいいます。八重歯の方は、飛び出ている1本だけを治療すれば八重歯が治ると思われるかもしれませんが、八重歯の場合は部分矯正では治らないケースが多くあります。

上の写真は典型的な前歯の症例で、歯列におさまりきれなかった犬歯が歯列から外側に大きく飛び出しています。同時に、左右の2番の歯は後ろに引っ込んでいます。これらの歯をきれいに一列に並べるためには、歯を動かすためのスペースが必要になります。

大きなスペースを作るためには、上下左右の小臼歯を抜歯しなければなりません。しかし抜歯矯正は一般的には全体矯正となり、部分矯正で行うことが出来ません。

八重歯の程度にもよりますが、一般的に八重歯は部分矯正で治療出来ない場合が多いです。

https://www.osaka-kyousei.com/nayami/yaeba.html

出っ歯は程度によって部分矯正で治る

出っ歯

出っ歯が部分矯正で治るかどうかは、出っ歯の程度によります。出っ歯の突出具合が大きかったり、重度のガタガタの場合は抜歯をして歯を動かすスペースを作らねばなりません。前述した通り、抜歯矯正は全体矯正となり、部分矯正では治すことが出来ません。

軽度~中程度の出っ歯の場合で、抜歯矯正をする程ではないケースでは、IPR(スライス、ディスキング)と呼ばれる「前歯の両端を僅かに削る処置」を行って、歯を動かすためのスペースを作ります。この場合は部分矯正で治療が可能です。

つまり、部分矯正で治療が可能かどうかは、主に歯をどの程度動かさねばならないかによって決まります。歯を大きく動かす必要がある場合は、全顎矯正となります。また、受け口や奥歯の噛み合わせの治療が必要な方も、全ての歯を動かさなければならないため、部分矯正では治りません。

上顎の骨格が大きく前に出ていることによって出っ歯になっている場合は、歯の矯正だけをしても口元が前に出ている状態を改善することは出来ません。骨格性の出っ歯の場合は、外科矯正が必要になります。

https://www.osaka-kyousei.com/nayami/deppa.html

部分矯正が可能な歯並びとは?

部分矯正は気になる前歯の歯並びなどの部分的な治療を行います。全ての歯を動かして歯並びと噛み合わせを整える全体矯正とは異なります。部分矯正が適用される主なケースは以下のようなものです。

1. 軽度の不正咬合

  • 小さな隙間がある場合やわずかに歯が重なっている場合など、軽度の歯並びや咬み合わせの問題がある時。
  • 特に前歯の微調整が必要な場合に適しています。

2. 一度矯正治療をしたが後戻りした

  • 歯列矯正治療後、何年か経過した後に、歯が元の位置に少し戻ってしまった場合の微調整に使用されることがあります。

3. 特定の歯の位置の調整

  • 特定の歯だけが問題を引き起こしている場合。例えば、1本または少数の歯が捻じれていたり、引っ込んでいる場合。

部分矯正での治療が適用されるかどうかは、患者さんのお口の状態、期待される結果、治療のリスクやメリットを総合的に評価した上で決定されます。

部分矯正で治療できる不正咬合

  • すきっ歯
  • 軽度のガタガタ
  • 軽度の出っ歯
  • 軽度の八重歯

部分矯正で治せるのは、ごく軽度の不正咬合のみです。
歯を大きく動かさなければならない重度の不正咬合の場合は、全顎矯正となります。

部分矯正では治らない例

部分矯正での治療が難しい不正咬合の代表的な例は、図の4種類の不正咬合です。

部分矯正では治らない例

重度の不正咬合は部分矯正では治りませんので、全体矯正で抜歯を伴った矯正か、重度の出っ歯・受け口の場合は外科矯正も視野に入れる必要があります。

部分矯正とは?

部分矯正は気になる前歯6~8本のガタガタや出っ歯を解消してきれいに並べるための部分的な歯列矯正です。奥歯だけの部分矯正もありますが、主に前歯の歯列を整えるために行われます。

歯の重なりを解消して歯をきれいに並べるためには、歯を動かすためのスペースが必要です。全顎矯正では、小臼歯を抜歯してスペースを作るのが一般的な方法ですが、部分矯正でスペースを作るやり方としては、前歯の両側を削って隙間を作るスライス(ディスキング、IPR)という方法で行います。

その場合、前歯に3ミリ以上のスペースが必要な八重歯やガタガタは部分矯正では治らないということになります。

部分矯正のメリットとデメリット

部分矯正にはどのようなメリットとデメリットがあるのかご説明します。

部分矯正のメリット

  • 治療期間が短い
  • 治療費が安い
  • 歯を大きく動かさないので手軽に治療出来る

部分矯正のデメリット

  • 歯を大きく動かす複雑な症例は適用外
  • 噛み合わせは治せない

 

部分矯正の治療方法

部分矯正に使われる4つの治療方法についてご説明します。

マウスピース矯正

インビザライン

マウスピース矯正では、まずiTeroという装置で歯列を光学スキャンし、歯型のデータを作成します。そのデータを元に歯をどのように動かしてきれいな歯列にするかの治療計画をソフト上で作成し、徐々に歯列が整って行くように順番に歯列が変化したマウスピースを製作します。

実際にマウスピースを歯に装着して頂くのは1日22時間以上です。食事と歯磨きの時はマウスピースを外すことが出来ます。

きちんと装着時間を守れるかどうかで、治療計画通りに治療が進むかどうかが決まります。当院ではインビザラインという名前のマウスピースを使用します。

https://www.osaka-kyousei.com/kyousei14.html

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

歯にワイヤーとブラケットを装着して、ワイヤーで引っ張って歯を動かし、歯並びをきれいにしていきます。

大きく歯を動かすケースに適しているので、抜歯矯正に向いています。マウスピース矯正では難しい複雑な不正咬合の治療にも使われます。

ワイヤー矯正はワイヤーとブラケットが目立つのがデメリットでしたが、当院ではセラミックの白いブラケットと、白い樹脂を巻いたホワイトワイヤー(別途料金となります)が使用出来ます。

https://www.osaka-kyousei.com/kyousei1.html

裏側矯正

裏側矯正 インコグニト

ワイヤーとブラケットを歯の裏側に装着するのが裏側矯正です。より目立たない矯正装置をご希望の方に適しています。当院ではインコグニトという名前の装置を使用しています。

https://www.osaka-kyousei.com/ibraces/

セラミック矯正

歯を動かして歯列を整えるのではなく、前歯を削ってセラミックを被せてきれいな歯列を作ります。セラミックは隣の歯と殆ど同じ色調で作れますので、セラミックを被せた歯と天然の歯は殆ど見分けがつきません。

https://www.osaka-kyousei.com/kyousei8.html

八重歯や出っ歯の部分矯正での治療に関するQ&A

Q

八重歯の部分矯正において、部分矯正で治らない場合はありますか?

A

八重歯の場合、部分矯正で治るためには歯列からの飛び出し幅が3ミリ未満である必要があります。3ミリ以上のスペースが必要な場合は抜歯を伴う全顎矯正が必要です。

Q

部分矯正で治療できる不正咬合の例は何ですか?

A

部分矯正で治療できる不正咬合の例には、軽度のすきっ歯、軽度のガタガタ、軽度の出っ歯、軽度の八重歯が含まれます。これらは歯を大きく動かさずに矯正できます。

Q

骨格性の出っ歯は部分矯正で治せますか?どのような治療が必要ですか?

A

骨格性の出っ歯の場合、部分矯正では治療が難しく、歯の矯正だけでは口元の前に出た骨格をあまり改善できません。出っ歯の程度によっては外科矯正が必要です。

まとめ

歯のキャラクター

出っ歯や八重歯を部分矯正で治す場合は、軽度の出っ歯や軽度のガタガタの場合のみ、部分矯正で治療が可能です。重度の出っ歯や八重歯の場合は抜歯矯正になるパターンが多く、部分矯正で治療は出来ません。部分矯正が適応になるかどうかは、担当医の判断に委ねられるため、部分矯正をお考えの方は、一度矯正相談をお受け下さい。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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