部分矯正でデンタルローンは使える?メリットと審査前に知っておきたい基礎知識

執筆・監修:大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋


部分矯正でデンタルローンは使える?

部分矯正は全体矯正より治療範囲が限られるため、費用を抑えられる場合があります。それでも自費診療となることが多く、まとまった治療費が必要になるケースがあります。

結論からいうと、歯科医院や利用する信販会社が対応していれば、部分矯正でもデンタルローンを利用できる場合があります。

デンタルローンを利用すると、治療費を一括で支払う代わりに、月々に分けて返済できます。そのため、まとまった資金を一度に用意することが難しい場合でも、治療を検討しやすくなることがあります。

ただし、デンタルローンには審査があり、誰でも必ず利用できるわけではありません。また、金利や手数料によって一括払いより総支払額が増える可能性があります。

大切なのは、「月々いくらなら払えるか」だけではなく、「最終的にいくら支払うのか」まで確認することです。

この記事では、部分矯正でデンタルローンを利用する仕組み、メリット・デメリット、審査前に確認したいこと、返済計画、医療費控除との関係までわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  1. 部分矯正でデンタルローンを利用できるのか
  2. デンタルローンの仕組み
  3. 分割払いを利用するメリット
  4. 審査ではどのような情報が確認される可能性があるのか
  5. 審査申し込み前に準備しておきたいこと
  6. 金利・手数料を見るときのポイント
  7. 月々の返済額と総支払額の考え方
  8. デンタルローンと医療費控除の関係

費用の支払い方法は、矯正装置を選ぶことと同じくらい、治療を無理なく続けるための大切な条件です。

 

部分矯正でもデンタルローンは使えるの?

部分矯正でもデンタルローンは使えるの?の図解

部分矯正でも、歯科医院や信販会社がデンタルローンに対応していれば利用できる場合があります。デンタルローンは歯科治療費を信販会社などが立て替え、利用者がその金額を分割で返済する仕組みです。

部分矯正だから利用できないわけではありません。まず医院がデンタルローンに対応しているか確認しましょう。

デンタルローンは、歯科治療に用途を限定した分割払いの仕組みです。

一般的には、

  1. 歯科医院で治療内容と費用を確認する
  2. デンタルローンを申し込む
  3. 信販会社などが審査する
  4. 承認後、信販会社が治療費を歯科医院へ立て替える
  5. 利用者が月々返済する

という流れになります。

インプラントや矯正治療など、保険外診療を対象とするデンタルローン商品もあります。

デンタルローンと主な支払い方法の違い

矯正費用の支払い方法はデンタルローンだけではありません。
一括払い、クレジットカードの分割払いなどと比較し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

支払い方法 特徴 確認したい点
一括払い 治療費をまとめて支払う 一度の負担が大きくなりやすい
デンタルローン 歯科治療費を分割して返済する 審査・金利・手数料がある
クレジットカード分割払い カード会社の条件で分割する 利用限度額や分割手数料を確認する

「どれが一番得か」は、金利や支払回数、利用できる決済方法によって変わります。
治療費だけでなく、手数料を含めた総支払額まで比較して決めることをおすすめします。

部分矯正でデンタルローンを使うメリットは?

デンタルローンのメリットは、まとまった治療費を一度に支払わず、月々の支払いに分けられることです。部分矯正を希望していても貯蓄を大きく減らしたくない場合や、一括払いが難しい場合に選択肢になります。

治療費そのものが安くなる制度ではなく、支払い時期を分散できる仕組みです。

主なメリットには次のようなものがあります。

まとまった初期費用を用意しなくても治療を検討しやすい

  • 一括払いでは数十万円の支出が一度に発生する場合があります。
  • デンタルローンなら支払いを複数回に分けられるため、貯蓄を一度に大きく取り崩さず治療を検討できる場合があります。

毎月の家計を管理しやすい

  • 月々の返済額が決まっていれば、家賃や生活費などと一緒に支出計画を立てやすくなります。

費用だけを理由に治療方法を狭めずに済む場合がある

  • 「一括で払える金額」だけを基準に装置や治療方法を決めると、本来希望していた方法を諦めることがあります。
  • 分割払いという選択肢があることで、治療内容を確認したうえで支払い方法を別に考えられます。

ただし、ここで大切なのは、ローンを使えるから治療費を増やしてよいということではありません。

私たちは「月々払えるか」だけではなく、治療終了後まで無理なく返済を続けられるかを確認してから利用することが大切だと考えています。

デンタルローンにはどんなデメリットや注意点があるの?

デンタルローンには、金利や手数料によって支払総額が増える、審査に通らない場合がある、長期返済になると治療終了後も返済が続く可能性があるといった注意点があります。契約前には毎月の金額だけでなく返済回数と総支払額を確認しましょう。

「月々○円」という数字だけで判断せず、金利を含めて最後までいくら支払うかを見ることが重要です。

注意したいのは、

  1. 金利や分割手数料がかかる場合がある
  2. 信販会社による審査がある
  3. 返済期間が長いほど金利負担が増える場合がある
  4. 治療が終わっても返済が残る場合がある
  5. 中途解約や治療変更時の扱いを確認する必要がある

という点です。

メリット・デメリットの比較

デンタルローンには便利な面がありますが、「分割できる」という一点だけで契約を決めるのはおすすめできません。
メリットと負担の両方を確認しておきましょう。

メリット デメリット・注意点
まとまった資金を用意しやすい 審査が必要
月々に分けて返済できる 金利・手数料が発生する場合がある
家計の支出を分散できる 返済期間が長くなることがある
治療開始時の負担を抑えやすい 支払総額は一括払いより増える可能性がある

ローンは治療費を減らす方法ではなく、支払い方を変える方法です。
この違いを理解したうえで使うことが、契約後に「思ったより総額が大きかった」と後悔しないためのポイントです。

デンタルローンの審査では何を確認されるの?

審査基準の詳細は信販会社ごとに異なり、すべてが公開されているわけではありません。一般には、申し込み内容や収入状況、勤務状況、既存の借入状況、信用情報などをもとに総合的に判断されます。歯科医院が審査結果を決めるものではありません。

「この条件なら必ず通る」という基準はありません。審査は信販会社が総合的に判断します。

デンタルローンを申し込むと、信販会社が返済可能性を確認します。

一般的に確認される可能性がある情報には、

  • 年齢
  • 職業
  • 勤務先
  • 勤続状況
  • 年収などの収入状況
  • 希望する借入額
  • 他のローンやクレジットの利用状況
  • 過去の支払い状況などの信用情報

があります。

ただし、「年収が○万円あれば通る」「勤続○年以上なら必ず通る」といった共通ルールはありません。信販会社や商品によって申込条件も審査方法も異なります。

デンタルローンの審査前にできる準備はあるの?

審査結果を確実に変える方法はありませんが、申込内容を正確に記入し、無理のない借入額にする、必要書類を準備するなど、申し込み前に確認できることはあります。虚偽の申告をしたり、審査を有利に見せようとして事実と異なる情報を書いたりしてはいけません。

審査対策より、「正確な申告」と「無理のない返済計画」が基本です。

申し込み前には次の点を確認してみましょう。

申込内容は正確に記入する

勤務先、年収、住所などは、確認できる内容を正確に入力します。

記入間違いや不足があると、確認に時間がかかることがあります。

希望借入額を必要な範囲にする

必要以上の金額を借りるのではなく、治療見積もりを確認して申し込むことが基本です。

既存の毎月の支払いを把握する

住宅ローン、車のローン、カードの分割払いなどがある場合は、それらを含めても毎月返済できるか考えます。

必要書類を準備する

商品によっては本人確認書類のほか、収入を確認する書類などを求められることがあります。

審査申し込み前のチェックポイント

デンタルローンの審査を歯科医院が操作することはできません。
だからこそ、「審査に通る裏技」を探すより、申し込み内容と家計を整理することが大切です。

確認項目 チェックすること
治療費 必要な借入額はいくらか
申込情報 住所・勤務先・収入などを正確に記入できるか
現在の支払い 他のローンや分割払いを含めて返済できるか
必要書類 本人確認書類や必要に応じた収入証明を準備できるか
返済期間 治療終了後も返済が続くか

審査に通ること自体をゴールにしてしまうと、返済負担が大きくなる可能性があります。
「借りられる金額」ではなく、「無理なく返せる金額」を基準に考えることをおすすめします。

学生やパート・アルバイトでもデンタルローンを利用できるの?

学生、パート、アルバイトなどの場合でも、利用できるかどうかは信販会社や商品ごとの申込条件と審査によって異なります。本人の収入状況などによっては、家族名義での申し込みなど別の方法を確認するケースもあります。

職業だけで利用可否が決まるわけではないため、まず医院や信販会社の申込条件を確認してください。

「正社員でなければ申し込めない」と一律に決めることはできません。
一方で、安定した返済が見込めることを申込条件としているローン商品もあります。

また、未成年や学生などの場合、本人ではなく保護者などが契約者となる選択肢が用意されていることもあります。
条件は利用するローンによって異なるため、自己判断せず確認しましょう。

部分矯正のデンタルローンは何回払いにすればいいの?

返済回数は「月々の金額が一番安くなる回数」ではなく、総支払額と家計への負担の両方を見て決めます。返済期間を長くすると月額を抑えられる一方、金利負担が増えて総支払額が大きくなる場合があります。

月々の返済額と総支払額はセットで比較しましょう。

例えば同じ治療費でも、

  • 短期間で返済する
  • 長期間に分けて返済する

では、毎月の支払い額が変わります。

長く分けるほど楽に見えるかもしれませんが、金利があるローンでは支払総額が増える可能性があります。

契約前に確認したい費用項目

ローンを比較するときは、「月々○円」の表示だけでは十分ではありません。
少なくとも次の項目を確認してから契約しましょう。

項目 確認する内容
治療費 ローン対象となる元の治療金額
実質年率 金利が何%か
返済回数 何回・何年で返すのか
毎月返済額 毎月の家計に無理がないか
分割払手数料 元金以外にいくら負担するのか
総支払額 最終的に支払う金額はいくらか

部分矯正は治療期間が比較的短いケースがあります。
そのため、治療自体は終わっているのにローンだけ何年も残る契約になることもあります。契約期間と治療期間を別々に考えることが大切です。

デンタルローンを使った部分矯正は医療費控除の対象になるの?

デンタルローンを利用しても、その矯正治療が医療費控除の対象となる条件を満たしていれば、信販会社が歯科医院へ立て替えた治療費部分は医療費控除の対象になり得ます。ただし、ローンの金利や手数料は医療費控除の対象になりません。

歯科ローンでは、毎年返済した金額をその都度申告するとは限りません。立替払いされた年の扱いを確認しましょう。

ここは誤解しやすいポイントです。

国税庁「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」では、歯科ローンを利用した場合、信販会社が立替払いした治療費は、その立替払いが行われた年の医療費控除の対象になると案内されています。

そのため、医療費控除の対象となる治療であれば、信販会社が立替払いした金額は、原則としてその立替払いが行われた年分の医療費控除の対象となります。
一方、ローンにかかる金利や手数料は医療費控除には含められません。

また、すべての部分矯正が自動的に医療費控除の対象になるわけではありません。

歯科矯正については、年齢や治療目的などからみて必要な治療と認められる場合は対象となることがありますが、容姿を美化することだけを目的とした費用は対象になりません。

ローン契約書や信販会社の領収書など、支払いを確認できる書類も保管しておきましょう。

デンタルローンを利用するか迷ったときは何を基準に決めればいいの?

デンタルローンは「一括払いが難しいから使うもの」とだけ考えるのではなく、治療内容、総額、返済期間、今後の生活費などを含めて判断することが大切です。ローンを組めるかどうかより、治療を続けながら返済も無理なく続けられるかを確認しましょう。

治療計画と返済計画は、別々ではなく一緒に考えることが大切です。

部分矯正を検討している方の中には、「全体矯正より安いから、ローンならもっと気軽に始められそう」と感じる方もいるでしょう。

しかし、治療費には装置代だけでなく、

  1. 診断料
  2. 調整料
  3. 追加装置
  4. 保定装置
  5. 治療後の管理

などが含まれる場合があります。

医院によって料金体系は異なりますので、まず部分矯正の総額と、どこまでが料金に含まれるのかを確認してからローン金額を決めることが重要です。

私たちは、支払い方法を先に決めるより、

「自分の歯並びは部分矯正でどこまで治せるのか」
→「治療総額はいくらなのか」
→「その費用をどう支払うのか」

という順番で考えることをおすすめします。

部分矯正を希望していても、診断の結果、全体矯正の方が適している場合があります。

ローンの月額が魅力的だからという理由だけで治療範囲を決めず、まず必要な治療内容を確認することが、治療後の後悔を防ぐことにもつながります。

部分矯正と全体矯正の選び方については、全体矯正と部分矯正の違いは?で詳しく解説しています。

まとめ|部分矯正のデンタルローンは「借りられる額」より「無理なく返せる額」で考えましょう

部分矯正でも、歯科医院や信販会社が対応していればデンタルローンを利用できる場合があります。

デンタルローンには、

  1. まとまった初期費用を抑えやすい
  2. 月々に分けて返済できる
  3. 家計の見通しを立てやすい

というメリットがあります。

一方で、

  1. 審査がある
  2. 金利や手数料が発生する場合がある
  3. 一括払いより総支払額が増える可能性がある
  4. 治療終了後も返済が続く場合がある

といった点には注意が必要です。

また、審査について、「こうすれば必ず通る」という方法はありません。

審査基準は信販会社によって異なり、収入状況や勤務状況、既存の借入状況など、さまざまな情報から判断されます。
申し込み前には、内容を正確に申告し、必要書類を準備するとともに、現在の家計を確認しておきましょう。

そして最も大切なのは、審査に通る最大額まで借りることではなく、自分が無理なく返済できる範囲で利用することです。

部分矯正は治療範囲が限られるため、全体矯正より費用を抑えられるケースがあります。
しかし、「部分矯正なら安いはず」と先に判断するのではなく、まず自分の歯並びが部分矯正の適応になるのか、どこまで改善できるのかを診断してもらいましょう。

治療内容と総額が分かってから、一括払い・デンタルローンなどの支払い方法を比較する。
この順番で考えることが、歯並びにも家計にも無理のない矯正治療につながります。

関連ページ:大阪矯正歯科グループの部分矯正