インビザラインは食いしばり癖があっても可能?

インビザラインは食いしばり癖があっても可能?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

「インビザラインは食いしばりの癖があっても可能かどうか」というご質問を受けたことがあります。
インビザラインは人気のマウスピース型矯正治療ですが、食いしばりや歯軋り等、無意識で歯をぎゅっと噛んでしまう癖のある方は、治療に支障は出ないのでしょうか?
食いしばりの癖がある方の場合、不向きな矯正装置があるという事をご説明しますね。

目次

インビザラインのアライナーはとても薄い

インビザラインは僅か0.5mmの薄さ

インビザラインは人気のマウスピース型矯正で、1日に22時間以上マウスピース(アライナーと呼びます)をはめることで歯を動かしていきます。

歯ぎしりや食いしばり用のマウスピースと違って、インビザラインのアライナーはより違和感がないように薄く作られています。その厚さは僅か0.5ミリ。透明なポリウレタンの素材で出来ており、アライナーを装着していても他人には殆どわからないのが特徴です。

とても薄く繊細なインビザラインのアライナーは、食いしばりや歯ぎしりとは相性が悪そうです。

あなたは食いしばりをしていませんか?

あなたは今、上下の歯をぐっと力を入れて噛んでいませんか? スマホを触っていたり、テレビを見ていたり、何か集中している時に、上下の歯が当たった状態になっていないか、ご自身で観察してみて下さい。

上下の歯は、食事の時以外はお互いが当たることはありません。上の歯と下の歯には常に2mm程度の隙間が出来ています。それに加えて、舌先が上顎についている(歯には触れません。)というのが歯と舌の正しいポジションです。

食いしばりの癖がある方は、常に顎に力を入れている状態ですので顎関節症を起こしやすく、歯並びにも悪影響があるといわれています。

食いしばりと歯ぎしりの違いって?

「食いしばり」と「歯ぎしり」はどちらも舌や歯列が正常な位置におらず、常に強い力で歯を噛みしめている状態です。その二つの違いは、行う時間が異なるということです。

一般的に歯ぎしりは、夜間就寝中に音を立てて自分でぎりぎりと噛む行為です。寝ている間に無意識に行っているので、歯や顎関節に悪いとわかっていても、なかなか止めることが出来ず、夜の間だけナイトガードと呼ばれるマウスピースをはめている方もおられます。

一方で食いしばりは、夜間だけではなく朝でも起きてしまう行為です。つまり食いしばりは時間に関係なく行う悪癖ということになります。

食いしばりで歯に影響があるの?

虫歯治療の際に歯科で行った歯の詰め物や被せ物が取れてしまうケース。噛み合わせが深くなる過蓋咬合という症例になってしまい、顎関節症を引き起こすケース。どちらのリスク要因ともなるのが、食いしばりです。その他にも、食いしばりで歯が破折し、抜歯しなければいけなくなったり、骨が過剰に発達し、固いこぶのようなものが出来る骨隆起というトラブルが起きる可能性があります。

そのため、お食事の度にお口を開けたり、人前で大きくお口を開けて笑う事が難しいですよね。是非、そのような症状や痛みを感じることがあったり、サインが見られたら、一度歯科医院のカウンセリングや診療を予約し、歯科医師やスタッフに相談、もしくは検査をされるのをおすすめいたします。

食いしばりの原因って何?

食いしばりはどうして起こるのでしょうか?原因については、様々なものが考えられます。通常、よく言われる理由が、ストレスや、喫煙、飲酒などの生活から起こる要因が悪影響を及ぼしたり、歯並びの悪さによる口腔内の状態から起こる事も考えられます。また、うつぶせ寝や運動により歯を食いしばることが多い方も考えられます。悪癖について書いたコラムをご参照くださいね。

矯正したのに後戻り!舌癖の改善
歯列矯正をしたのに後戻りして歯並びが再び悪く...

食いしばりに性格は関係ある?

緊張しがちでストレスや不安をため込みがちな性格をお持ちの方や、ニコチン、アルコールの摂取量が多い方というのは、食いしばりを助長するデメリットになるという事を頭の隅においてください。

ただ、歯並びの悪さは、歯科矯正を行う事により変化し、改善できます。綺麗な歯列は、笑顔の際の自信につながりますよね。

食いしばり癖でもインビザラインで矯正可能?

インビザライン

では、食いしばりの癖をお持ちの方が、インビザライン(マウスピース矯正)で歯の矯正を行う事は可能でしょうか。

インビザラインとは、周囲から見えにくい矯正で、透明なマウスピースによる取り外しが可能な矯正装置です。毎日22時間程度の長時間装着を行い、定期的に新たなアライナー(マウスピース)へ交換していくことで歯を動かす矯正治療法です。歯ぎしりや食いしばりのマウスピースと違い、矯正治療用のマウスピースは、お口の違和感を少なくするために薄く作製しているのが特徴です。

食事中に歯を食いしばるときにかかる負荷は60㎏程度で、睡眠中の無意識下での食いしばりは体重の2倍程度の負荷がかかるといわれています。これではインビザラインのアライナーが壊れてしまいます。

癖をなくせるならインビザラインができるって本当?

癖は無意識に行ってしまう事が多く、自分は食いしばりはないと思いの方でも、もしかしたら日常的にではなくても強く噛みしめてしまっていることがあるかもしれません。無意識で食いしばってしまうため、気をつけて食いしばりを失くすというくとも、なかなか難しいのが実情です。

癖を治して食いしばりをやめることができれば、インビザラインによる矯正治療を妨げることはありません。しかし実際問題として癖を治すことが難しいならば、インビザラインにこだわらず、ワイヤーとブラケットを歯に付けるワイヤー矯正での矯正をお勧めします。

癖のある人がインビザラインでよくあるトラブル

食いしばり癖をお持ちでインビザラインで矯正なさる方は、歯の動きと癖により、どうしても矯正用のアライナーが割れやすくなる傾向にあります。矯正終了後につけて頂くリテーナー(保定装置)が食いしばりなどの癖で破損してしまった例もあります。

その場合はアライナーの再作製を行わなければなりません。再作製のお時間が追加でかかるため、始める前に治療計画で提示した期間よりも、結果的に治療期間が長くなってしまいます。

歯ぎしりや食いしばりは、無意識的なストレス解消の可能性があるため、そう簡単に治るものではないのも事実です。癖をお持ちの方は、インビザライン矯正を予定通りの期間で行うのは難しいかもしれないとお考え下さい。食いしばりがかなり強く、あまり改善が見込めない場合は、インビザラインではなくワイヤーやブラケットの矯正で治療するなどの選択で、より安心して治療を受けられるかもしれません。

インビザライン、アジア太平洋地域で100万人目の患者を達成

アライン・テクノロジー社(NASDAQ: ALGN)の子会社であるインビザライン・ジャパン株式会社は2020年8月、同社が提供するクリアライナーによる矯正歯科治療の支援において、アジア太平洋地域で100万人目の患者に到達したマイルストーンを発表しました。

まとめ

インビザライン一式

いかがでしたか。今回は、「インビザラインは食いしばり癖の私でも可能?」についてご案内しました。

食いしばりの癖がある方にとっては、インビザラインの矯正装置はあまり向かないという事がお分かりいただけたと思います。もちろん、インビザラインはメリットの多い矯正装置ですので、どうしてもインビザラインでの矯正をご希望という方は、担当医に対応をご相談ください。

綺麗な歯並びになれば、咬み合わせ等の問題解決以外に、大切な歯のブラッシングが楽になります。それにより、後々起きやすいと考えられる歯周病や、虫歯などの数々のトラブルが減らせます。