インビザライン

インビザラインのアタッチメントは痛いの?

インビザラインのアタッチメントって本当は痛んじゃない?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

マウスピース矯正インビザラインのアタッチメントは歯につける小さなレジンの突起物で、インビザラインで歯を思い通りに動かすためのものです。インビザラインのアタッチメントは飛び出ていて痛そうとか、アライナーの装着時に邪魔にならないのか?何の為につけるのか?色んな疑問がわいてくると思いますのでご説明します。

インビザラインのアタッチメントは痛い?

マウスピース

歯列矯正をされる方で、ワイヤー治療よりも痛みが少ないということでマウスピース型矯正を選択された方もいらっしゃると思います。では、インビザラインで歯を自在に動かすために必要な「アタッチメント」は痛いのでしょうか。

アライナーとアタッチメント

歯が移動する時の痛みが出ている

矯正歯科治療では歯が動く時には多少の痛みが出ます。アタッチメントは歯にアライナーをフィットさせ、より密着させることで効率的に歯を動かすためのものですので、アタッチメント自体が原因で痛むことはありません。

新しいマウスピースにつけかえた時には、締め付け感やうずきのようなものを感じる方が多いです。これは、新しいマウスピースは現在の歯並びとぴったり合っておらず、約0.25mm歯が動いた状態の形に設計されているからです。

マウスピースを長時間はめ続けることで、マウスピースの形にぴったり合うように、歯が少しずつ動いていきます。先述した違和感やうずき、歯が動く際の痛みは2~3日すれば和らぎます。痛みが気になる場合は、市販の鎮痛薬を飲むと痛みが緩和されます。

※鎮痛薬は飲み続けないようにしましょう。

※マウスピース矯正はゆっくりと歯を動かしていくシステムですので、他の矯正装置と比べて痛みの程度は抑えられます。

マウスピースを外す時に痛い

マウスピース

インビザラインのアライナーは歯にぴったりした形になっています。そのためマウスピースを外す際に、アタッチメントにひっかかって痛みが生じることがありえます。外す時は奥歯→前歯の順でゆっくりと外しましょう。

食事中に頬の粘膜に当たって痛い

インビザラインでの治療中は食事の際にはマウスピースを取り外します。そのため、アタッチメントがむき出しになって頬の粘膜に当たると、痛みを感じることがあります。

その場合は歯科医院でアタッチメントの先を少し削って丸くするなど、アタッチメントが頬の粘膜に触れても痛くないように対応をしますので、歯科医院にご相談ください。

マウスピース型矯正インビザラインのアタッチメントとは?

アタッチメントの説明

インビザラインは最初に歯型のデータを作成して、現在の歯並びからきれいな歯並びになるまでの治療計画を3Dソフト上で作製します。

クリンチェックのソフトでの治療計画に従って、平均36個~48個のアライナーが作成され、患者さんは1週間~10日程度で新しいアライナーへの取り替えを行いながら、治療計画通りに歯を動かしていきます。

数年前まではマウスピース矯正では複雑に重なり合った歯列の治療や、抜歯を伴う治療は出来なかったのですが、インビザラインでアタッチメントを使用するようになってからは、かなり大きく歯を動かさなくてはいけない症例でも治療が可能になりました。

しかし、マウスピース矯正では歯が動くスピードが遅いため、治療が長くかかります。そのため、抜歯矯正の場合は最初はワイヤー矯正で行い、途中でマウスピース矯正に変更するという方法で行う場合があります。

アタッチメントは何のためにつけるの?

クリンチェック

インビザラインでの矯正治療を行う際に、歯につけるコンポジットレジン(歯科用プラスチック)の小さな突起物をアタッチメントと呼びます。これがついていることで、歯に一定方向の力をかけられるようになり、マウスピースでもワイヤー矯正と同じように歯を自在に動かせるようになりました。

クリンチェックによってインビザラインでの治療計画を立てた時に、画面上に歯に濃いピンク色の三角や四角のマークが表示されます。これがアタッチメントを着ける場所と種類を表しています。アタッチメントには大きさや形の違いがあり、歯をどのように動かすかでアタッチメントの種類が決められます。

このクリンチェックは歯科医師の矯正への理論的な理解と臨床経験によって精密度が違い、治療の完成度に直接関わるものです。アタッチメントの開発によって、インビザラインは誰が担当しても同じ内容になる従来のソフトに頼ったマウスピース矯正とは一線を画し、歯科医師によって矯正の診療結果が左右される、歯科医師の技術面が重要な専門的な矯正治療へと変貌を遂げました。

アタッチメントの種類

クリンチェック

アタッチメントには、クリンチェックの段階で自動的に追加される「最適アタッチメント」と、矯正医の判断で追加する「通常アタッチメント」の2種類があります。

これらのアタッチメントを組み合わせることで、より効果的に歯を動かして不正咬合を治療していくことが出来るようになります。

最適アタッチメントは治療前の歯型をソフトウェアに読み込ませて、ソフトウェアが患者さんの不正咬合のタイプによって歯をどのように動かしていくか自動的に判断します。そして通常アタッチメントは矯正医の判断で設置の有無や大きさを変更することが出来ます。

最適アタッチメントは、歯の動かし方によって5種類あります。

  • オープンバイト用
  • ディープバイト用
  • ルートコントロール用
  • 回転用
  • アンカレッジ用

アタッチメントがより進化してアンカレッジ用最適アタッチメントが開発されたことで、昔はインビザラインでは不向きと言われていた抜歯矯正が多く行われるようになりました。

小臼歯を抜歯した場合には、歯を大きく動かすことになりますので、犬歯の歯軸が傾いて斜めになってしまわないように移動させたり、または平行に移動させたりする動きに合ったアタッチメントを選ぶことが大切です。

インビザライン自体は痛い?痛くない?

インビザライン模型

矯正治療を行うことが原因で痛みは起こることが多いです。新しいスペースへの歯の移動により、力がかかるため痛みが生じます。マウスピース矯正の特徴に、ワイヤー矯正で治療するケースと比較してお口の内側や唇に傷を付けるトラブルがなく、口内炎などの痛みが少なくなるというメリットがあります。しかしアライナーの交換直後に痛みが生じることが多く、痛みや締め付け感が全くない状態で治療完了したという方は少ないと思います。

マウスピースをはめると、自分の歯列より少し歯が動いた形になっているため、違和感や締め付け感があります。そして歯の動こうとする力が加わるので、新しいマウスピースに替えてから1~2日はうずくような痛みを感じる方もおられます。歯をしっかり動かして理想的な位置に導くためには、不正咬合の程度によっては抜歯をしたり、アタッチメントをつけたり、ゴムかけをしたりするので、余計歯に力がかかり、痛みを感じる可能性は高まります。

インビザラインをつけた時の違和感はどの程度?

インビザライン

インビザラインに慣れるまでは、「違和感があって長時間付けられない」とおっしゃる患者さんもおられます。例えば、全体的な矯正(全顎矯正)をされる方の場合は上下ともにインビザラインを装着する必要があり、マウスピースは約0.5mmですから、上下合わせて歯のかみ合わせの位置が上下まとめて約1mm高くなるのです。

「たかが1mm」と思われがちですが、顎が小さい方(主に女性)の場合、マウスピースの厚みが気になりやすくなる傾向にあります。普段は上下の歯の間には隙間があって、噛みしめることはありませんが、「喋る時に少し発音しにくい」ということは起こりえます。それ程大きな違和感ではありませんので、次第に慣れて頂けると思います。

インビザラインでの治療はマウスピースによって少しずつ歯を動かしていき、約2週間で新しいアライナーに交換します。新しいアライナーに慣れるまで1~3日はまた痛みや締め付け感が起こる場合がありますので、それが原因で矯正治療が辛いものになり、最悪の場合はアライナーをつける時間が短くなって歯が最初の治療計画通りに動かず、治療の失敗につながってしまいます。

もしこのような違和感を強く感じられたら、医師にしっかりと相談して痛みや違和感を和らげる方法のアドバイスを受ける必要がありますので、すぐに担当の歯科医師やスタッフにご相談されるのをおすすめいたします。

インビザラインで治療した症例はこちら

▼インビザラインで叢生(ガタガタ・八重歯)や反対咬合を治した症例はこちらをご覧ください

インビザラインのアタッチメントの痛みに関するQ&A

Q

アタッチメントはなぜ必要で、痛みの原因となる要素は何ですか?

A

アタッチメントはマウスピース矯正で歯を効率的に動かすための装置であり、歯に力がかかることで痛みが生じる可能性があります。これはインビザライン全体の特性にも関連します。

Q

アタッチメントがついた状態でインビザラインを外す際の注意点は何ですか?

A

アタッチメントが付いている状態でインビザラインを外す際は、特に初めのうちは注意が必要です。奥歯→前歯の順にゆっくり外すことが大切で、不慣れなうちはひっかかって痛みが生じることがあります。

Q

インビザラインのアタッチメントの種類とその役割について教えてください。

A

インビザラインのアタッチメントには最適アタッチメントと通常アタッチメントの2種類があり、これらを組み合わせて歯を効果的に動かすことができます。最適アタッチメントは自動的に選ばれ、通常アタッチメントは矯正医の判断で調整されます。

まとめ

歯のキャラクター

インビザラインのアタッチメントによる痛みといっても、感じ方は千差万別で、マウスピース型矯正の場合はそう心配されなくても大丈夫だと思います。矯正を考えておられる方には、矯正治療はなるべく早く終わらせて、綺麗な歯並びを楽しんで頂きたいです。

インビザラインのアタッチメントに関連する痛みについては、以下の研究が参考になります。

1. Simon et al (2014) の研究では、インビザライン®システムを使用した矯正治療の効果について調査されました。特に、補助装置(アタッチメント/パワーリッジ)の使用やアライナーごとのステージング(アライナーごとの動き)が治療効果にどのような影響を与えるかが分析されています。この研究からは、アタッチメントが痛みを引き起こす可能性についての直接的な情報は得られませんが、アタッチメントが歯の動きをサポートするために重要であることが示されています。【Simon et al., 2014

2. Xu et al (2022) の研究では、インビザライン治療の初期段階での患者体験を予測するために人工ニューラルネットワーク(ANN)を構築することを目的としています。この研究では、痛み、不安、生活の質(QoL)に関するデータが収集されました。結果として、インビザライン治療における痛み、不安、生活の質の予測成功率はそれぞれ87.7%、93.4%、92.4%であり、治療に伴う潜在的な不快感レベルを事前に知ることで、患者が難しい段階を乗り越えるために整形外科医が患者をよりよく準備するのに役立つ可能性が示唆されています。【Xu et al., 2022

これらの研究は、インビザラインのアタッチメントが痛みを引き起こすかどうかについては直接的な情報を提供していませんが、インビザライン治療における患者体験に関する重要な洞察を提供しています。治療初期における潜在的な不快感の理解と管理が、治療の成功に重要であることが示唆されています。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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