マウスピースが浮くってまずくない?

マウスピースが浮くってまずくない?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

インビザラインはマウスピース型矯正装置を装着する矯正治療です。たまに起こるトラブルに「ん?うまく歯にはめられない」と感じる装着トラブルがあります。その場合はきっと、マウスピースが「浮く」という状態になっていると思います。

マウスピースの浮きの原因は?

マウスピースが浮いていると感じる時、まず考えられる原因は、アライナーと呼ばれるマウスピースの装着時間の短さです。インビザラインでは1日22時間装着していただくのが大前提なのですが、それを少しの時間でも外していることを何日も守らなければ、装着時間の累積が治療計画よりも減ってしまい、歯が計画通りに動かなくなることが考えられます。

インビザラインは1~2週間で次のアライナーに交換していきますが、歯が予定通り動かなければ、クリンチェック(ドクターが行う3Dソフトでの治療計画の作成)と実際の歯とのギャップはどんどん開き、アライナーが浮いてしまう原因になります。

装着時間を怠らないように、守ることが重要です。

ただ、中には「きちんと装着時間守っているのに浮いている気がする」と言われる方もおられるでしょう。フィットしていないと考えられる理由で、マウスピースの苦手症例とされる受け口などの歯の移動を行っていたり、歯の移動量が多くて浮く可能性があります。

インビザラインはどれ位、歯にはまればいい?

「どれくらい歯にはまればいいの?浮いている状態はどんなもの?」と思われる方が多いと思いますのでご説明します。iteroや型取りでご自分のお口にぴったりのマウスピースを使用するのですが、マウスピース型矯正治療を開始して間もない方はアライナーがうまくはまってくれない場合があります。

アライナーの交換直後に1~2mm程度の浮きであれば、次第に歯に馴染んでくるとは思いますが、アライナーを交換してから1週間以上たっているのにまだ2㎜程度浮いている場合は、すぐに医院の矯正担当医に連絡し、ご相談ください。アライナーが無理な力をかけてしまった事により破損している場合があります。

矯正医のチェックの際にアライナーを確認して浮いてしまう原因を突き止め、リカバリー処置や、アライナーの作製し直しをご提案する場合もあります。

浮いてるマウスピースを自分で何とかできる?

アライナーが浮いている場合は、早く歯科へ来院されることをおすすめしますが、それが難しい場合もあると思います。では、予約した次の診療日まで自分でなんとか対応したいと思われた場合、どうすればいいのでしょうか。

1.アライナー・チューイーをしっかり噛む

まず、アライナーチューイを前歯から奥歯までしっかりと噛んでください。おおよその目安としては1つの歯について5回ほど咬めると理想的です。お口全体でおおよそ5分程咬んでください。

<参照先:フォレストワン>

2.アライナーの装着時間を守る

当院ではアライナーの装着時間は1日22時間を推奨しています。この装着時間が守れないと、治療計画通りに歯が動きませんので、アライナーが歯から浮いてしまうということが起こりやすくなります。出来る限り1日の装着時間を守るようにしましょう。

3.1つ前のアライナーを使用する

ご自分でできる対処法としては、1つ前のアライナーを使用するという事です。約3日程延長して装着することで、新しいアライナーが綺麗にはまることがあります。ただ、延長して装着した場合は日程のずれもありますので、次回来院の際にクリニックの担当医にその旨をお伝えください。

マウスピースが浮くと医院でどんな処置をするの?

マウスピースが浮いてしまった場合はリカバリー処置やアライナー作製等を行います。

リカバリー処置には、セクショナルワイヤーやゴムかけなどをします。セクショナルワイヤーとは、浮きの原因となる一部だけずれた箇所を、ワイヤー矯正するとお考え下さい。ズレている周辺にブラケットを接着し、ワイヤーを装着する方法です。

あとはゴムかけという方法で歯にボタンを接着して、ゴムをひっかけ正しい位置に歯を動かす方法です。ゴムかけで上手く誘導できれば、追加のアライナー作製をせず次の計画に進むことができます。

ただ、リカバリー処置でもまだ浮いたりずれたりした際は、クリニックで追加のアライナーを作製する必要があります。追加アライナーが届く迄の期間分、全体の矯正期間が延びることになりますが、追加アライナー作製により歯の動きを良い方向へ導くメリットがあります。

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まとめ


マウスピースが浮いた場合どのようなことをすればいいのか、ご説明しました。実際にマウスピース治療をお考えの方に、参考になればと思います。