裏側矯正治療の際には歯の裏側に装置を付けます。装置があるために舌が動きにくくなり、慣れるまでには滑舌に影響が出てしまうこともあります。裏側矯正と滑舌についてご説明します。
目次
裏側矯正は滑舌にどんな影響があるの?
裏側矯正はしゃべりにくいということが良く言われますが、確かに滑舌に影響します。
母音を発音する時の舌や口の動き
あいうえお、の母音を発音する時には、以下の2つの条件が組み合わさって発音されます。
- 舌と口の天井の距離・・口の中が広いか狭いか
- 舌が動く位置・・舌の前方か後方か
子音を発音する時の舌や口の動き
子音の発音は、母音よりも複雑で、舌のどの部分(舌の先端、前方、後方)がどの方向に動くかが組み合わさり、舌がどのように戻るかによって、音が変わります。
発音する時は、無意識に唇や舌を動かしますので、全てを意識して発音するのは、逆に難しいといえます。
これらの発音する場所が正しい位置でない場合は、音が変わってしまいます。
裏側矯正でしゃべりにくくなる理由
裏側矯正は歯の裏側にブラケットとワイヤーをつけて、ワイヤーに力を加えることで歯を少しずつ動かしていきます。
装置が歯の裏側にあるため、表側からは殆ど見えないのが、裏側矯正のメリットですが、お口の中が装置によって狭くなり、舌を動かしにくくなります。
この「舌が動きにくくなる」ことが、滑舌が悪くなる原因のひとつになります。
裏側矯正で特に発音しにくい音は?
裏側矯正では、舌が動かしにくくなりますので、「サ行」「ザ行」「タ行」「ダ行」「ナ行」「ラ行」の発音がむずかしくなります。
これらの音は、①前歯の裏に舌を接触させる動き②前歯の裏に舌を接近させる動き、の2つの動きが必要になりますので、矯正装置が邪魔になって正しい発音が難しくなります。
発音しにくい音も練習すれば出せるようになる
滑舌が悪くなったと感じた場合は、スムーズに発音するための練習が必要になります。練習によって音を出すことに慣れると、自由に発音ができ、滑舌が元の状態に戻ることもあります。
滑舌をよくするためのトレーニング1.舌を思い切り出す
舌を滑らかに動かすために、思い切り舌を出して、舌の筋肉を鍛えましょう。やり方は、「上を向いた状態で天井に向けて舌を思い切り突き出す」だけです。その後、舌を戻して正面を向きます。
これを繰り返すと、舌の筋肉が鍛えられ、滑らかに舌を動かすことが期待できます。
滑舌をよくするためのトレーニング2.母音の発音をする
日本語の発音の基礎となるのが「あいうえお」の母音です。これらの母音がうまく発音できないと、聞き取りにくい発音になってしまうことがあります。
言葉を全て母音だけ発音するトレーニングをすると、はっきりとした発音が出来るようになります。例えば、「おはよう」は「おあおう」となります。
劇団員の方などもこの方法で練習されるそうです。
滑舌をよくするためのトレーニング3.早口言葉
早口言葉をいくつか言ってみて、言いにくい言葉があれば、繰り返し練習します。速さにはこだわらず、口や舌をしっかりと動かして発音することを心がけましょう。
まとめ
矯正治療中は装置を歯に付けたりお口に入れたりしますので、滑舌に影響が出ることがあります。特に裏側矯正では歯の裏側に装置があるために、舌の動きが悪くなり、子音の発音がしづらくなることがあり、慣れるまでに時間が必要になります。
営業職の方やセミナー講師、アナウンサーなどの喋る職業の方は、装置による滑舌への影響も考えて適切な装置を選びましょう。