部分矯正

部分矯正の時の歯磨きの仕方を教えて

部分矯正の時の歯磨きの仕方を教えて

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

矯正治療中は、歯磨きがしにくくなるため、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。虫歯や歯周病にならないようにするには、毎日の歯磨きを丁寧に行い、出来るだけ歯垢を落とすことが重要です。ここでは、部分矯正時の歯磨きの仕方についてご説明します。

矯正治療で歯並びがきれいになっても、虫歯や歯周病になってしまっては台無しですので、健康な天然の歯を出来るだけ長く使うために、矯正中は一層丁寧にセルフケアを行いましょう。

ワイヤー矯正の場合の歯磨きの手順

部分矯正では、前歯8本まで動かすことが可能です。そのため、前歯8本にだけブラケットを付けてワイヤーを通します。ワイヤーとブラケットを歯につけると、歯磨きがとてもし辛くなりますので、どのようにすれば隅々まで効果的に汚れを落とすことが出来るのか、ご説明します。

前歯は鏡を良く見ながら歯みがきしましょぅ。裏側矯正は歯の裏側にブラケットをつけるので、歯磨き用の小さなデンタルミラーをお口の中に差し込んで、鏡で映してみながら歯磨きします。

歯ブラシで磨く

いつも使っている歯ブラシでの歯磨きでは、装置の周囲の汚れに歯ブラシの毛先が当たりにくいかもしれません。ブラシを歯に対して45度に当てて、汚れをかき出します。

デンタルフロスを使う

フロスが通る場所には、デンタルフロスを使います。歯と歯の間や、歯と歯茎の間の汚れは、デンタルフロスを使うとよく落ちます。

糸ようじは使えるけれどデンタルフロスは使ったことがないという方も、ぜひフロスを練習してみて下さい。歯と歯の間にフロスを通すと、こんなに汚れがついていたんだ!と驚くほど、食べかすがフロスの糸にくっついて取れます。

歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届かない場所ですので、デンタルフロスは矯正治療をしていない方にもおすすめです。

ワンタフトブラシ

毛先が筆先のように細くなっているのがワンタフトブラシです。歯と歯茎の間の部分を掃除する時に、歯の表面をきれいにしてくれます。

歯間ブラシ

ブラックトライアングルと呼ばれる、歯と歯の間の歯茎側の部分に軽く差し込んで使います。この部分にあまり隙間がない場合は、デンタルフロスとワンタフトブラシできれいになりますが、隙間があいている方は、歯間ブラシを使うと効果的に汚れが落ちます。

歯間ブラシにはサイズがありますので、歯科医院での定期健診の時に、ピッタリのサイズを歯科衛生士に選んでもらいましょう。

部分矯正の矯正装置

歯並びを整えるために歯につける矯正装置には、「固定式」と「可撤式(取り外し式)」のものがあります。

ワイヤー矯正、裏側矯正は固定式に属し、マウスピース矯正は可撤式に属します。

固定式・・ワイヤー矯正、裏側矯正

ワイヤー矯正、裏側矯正は共に歯の表面にブラケットとワイヤーを接着します。ワイヤー矯正と裏側矯正の違いは、歯の表面、裏面のどちらに矯正装置をつけるかということです。

ブラケットと歯の境目には汚れや歯垢がつきやすく、ワイヤーとブラケットが連結されている場所には食べ物が絡んだりもします。

それらの汚れを落とすには、歯ブラシを斜めに差し込んだり、先が細くなったタフトブラシを使うなどの工夫が必要です。

可撤式・・マウスピース矯正

マウスピース矯正は、透明な樹脂で出来たマウスピースを1日22時間装着します。食事中と歯磨きの時だけはマウスピースを外すことが出来ます。

そのため、歯磨きは普段通りに行うことが出来、特別なケア方法が必要になるわけではありません。

食べかすや歯垢がたまりやすいのは、歯と歯の間や、歯と歯茎の間の溝部分です。溝の中に歯垢が溜まってしまうと、溝が深くなって歯周ポケットと呼ばれるようになります。

歯周ポケットの内部には歯ブラシの毛先が届きにくいため、歯周ポケットが深くなってくると、歯科医院で定期的にクリーニングを受ける必要があります。

矯正治療中の定期健診について

矯正治療中は歯に矯正装置を取り付けるため、歯磨きをしても歯垢が歯に残ってしまいがちです。そんな時には、3~4ヶ月に一度、歯医者の定期健診で歯のクリーニングを受けましょう。

もし虫歯や歯周病になりかかっている歯があれば、その時に発見出来、処置を受けることが出来ます。場所によっては矯正装置を外さねばならないため、矯正治療が終わってから治療することになる場合もあります。

大切なのは、虫歯や歯周病になる前に、しっかりと予防をするということです。虫歯も歯周病も、早期発見出来れば十分に治る見込みがありますので、ぜひ歯の定期健診をお受け下さい。

部分矯正の時の歯磨き方法に関するQ&A

Q

矯正治療中の歯磨きの重要性とは?

A

矯正治療中、歯磨きが難しくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。定期的かつ丁寧な歯磨きは、これらのリスクを軽減するために不可欠です。

Q

部分矯正時の歯磨きの手順はどのようになりますか?

A

部分矯正時の歯磨き手順には、歯ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシ、歯間ブラシを使用し、歯の裏側やブラケット周りの汚れを落とす必要があります。

Q

ワイヤー矯正のブラケットの周辺の汚れを落とす方法は?

A

ワイヤー矯正のブラケット周りの汚れを落とすには、歯ブラシを斜めに差し込むなどの工夫が必要です。また、ワンタフトブラシやデンタルフロスも役立ちます。

まとめ

歯のキャラクター

装置の違いによって磨きやすさに違いがありますが、矯正治療中は虫歯や歯周病になりやすいので、毎日丁寧に汚れを落とす必要があります。

歯垢が残ったままになると、時間の経過とともに歯垢は歯石に変わり、細菌が増殖しやすい状態になります。虫歯や歯周病を防ぐために、矯正装置を付ける期間は、矯正装置の特色に合った歯磨き方法を行うことで、口腔内を清潔に保ちましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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