歯並びは整っているのに、歯が前に出ていて出っ歯でお悩みの方がおられます。歯列矯正はガタガタの歯を治すといイメージがありますが、歯並びがきれいで出っ歯の場合は矯正で治療が出来るのかどうかご説明します。
目次
出っ歯のタイプについて
日本人には出っ歯の方が比較的多いのですが、一言で出っ歯と言っても、様々なタイプがあります。
1.顎が小さいために出っ歯になっている場合
小児矯正
小児矯正では、成長を利用して顎の大きさや歯並びを整えていきますので、顎が小さくて出っ歯になっている場合は、顎骨の成長を促進させるような矯正装置を付けます。
大人の矯正
大人の方は、既に顎の成長が止まっていますので、顎の大きさは変わりません。そのため、歯に装置を付けて歯を動かして歯並びを整える矯正治療になります。
2.歯の傾斜によって前歯が突出している場合
骨格の大きさに問題はなく、前歯の傾斜によって出っ歯になっているタイプです。まず、歯をどのくらい動かさなければならないかを診断し、歯を動かすためのスペースを作って前歯を引っ込めていきます。
歯をあまり大きく動かさない場合は、前歯の両端のエナメル質の部分を削ってスペースを作ります。歯を大きく動かす場合は、小臼歯を抜歯してスペースを作ります。
歯に装置を付ける矯正方法は、ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正の3種類があります。
3.上顎の骨格が前に出ている骨格性の出っ歯の場合
骨格が前に出ているタイプの出っ歯は、口ゴボとも呼ばれ、歯に装置を付けて前歯を後ろに引っ張っただけでは、口元の突出感が治りません。
そのため、外科手術で上顎の骨を切って前歯を後ろに下げるセットバック手術という方法を取ります。
4.下の顎が後退しているために出っ歯に見えている場合
上の前歯はそれほど出ているわけではないのに、下顎が後ろに引っ込んでいるために、横顔を見ると出っ歯に見えてしまう場合があります。
このタイプの方は、下顎を前に出すオトガイ形成前方移動術と呼ばれる外科矯正を受ける必要があります。下顎が前に出れば、横顔のラインが整って見えます。
歯並びは良いけれど出っ歯になっているのはどのパターン?
歯並びが整っているのに出っ歯になっている場合は、顎が小さく、歯が並ぶために必要なスペースが少し足りていないということが考えられます。
顎が小さすぎる場合は、歯並びが整っておらずガタガタになりますので、「わずかに小さい」というタイプです。
この場合は、抜歯矯正を行うと、スペースが出来過ぎますので、ディスキングという方法で歯を動かすスペースを作ります。
その後、ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正のどれかの装置を歯に付けて、歯を動かし、前歯を後ろに下げていきます。
出っ歯の程度によっては、前歯にだけ装置を付ける部分矯正で治療出来る場合もあります。部分矯正は全体矯正と比べると、治療期間や費用が少ないというメリットがあります。
出っ歯を引っ込めるための矯正装置について
出っ歯を引っ込める時に使う矯正装置は、ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正の3種類です。それぞれについてご説明します。
ワイヤー矯正
歯にブラケットとワイヤーをつけて、ワイヤーに力を加えることで歯を動かしていきます。ワイヤー矯正は装置が目立つのがデメリットでしたが、当院では白いセラミックのブラケットと、白い樹脂を巻いたホワイトワイヤー(別料金)で、あまり目立たない状態でワイヤー矯正が可能です。
裏側矯正
歯の裏側に矯正装置を付けるのが裏側矯正です。当院ではインコグニトという裏側矯正装置を使用します。
インコグニトはオーダーメイドで、患者さんお一人おひとりの歯の形状にぴったり合ったブラケットを作製出来ます。そのため従来の裏側矯正の装置よりもブラケットが薄く、違和感が少ないのが特徴です。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は透明なマウスピースを付け替えることで歯を動かしていきます。当院ではインビザラインというマウスピース型の矯正装置を使います。
インビザラインの特徴は、アタッチメントという小さな突起を歯に付けて、歯にかける力の強さや方向を決められることです。
マウスピースの装着時間は1日22時間以上とかなり長く、食事と歯磨きの時にはマウスピースを外して行うことが出来ます。患者さんが装着時間をきちんと守れるかどうかが、治療が成功するかどうかのカギとなる場合が多いです。
まとめ
歯列がきれいに揃っているけれど出っ歯になっているというお悩みに対しての治療方法などについてご説明しました。歯がガタガタに入り組んでいるタイプの不正咬合と比べると、比較的簡単に治る場合もありますので、ぜひ一度矯正医にご相談ください。外科矯正が必要なケースもありますが、その場合は丁寧にご説明いたしますので、ご安心ください。