インビザライン

インビザラインは意外と面倒くさいの?面倒くさがりでも可能?

インビザラインは意外とめんとくさいの?めんどくさがりでも可能?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

インビザラインはマウスピース矯正の一つで、透明なマウスピースを1~2週間毎につけ換えて歯を動かしていきます。インビザラインでの治療には、1日22時間装着、飲食時は外すなど、いくつかのお約束事があります。それらを守るのが面倒くさいと感じることはないのか、ご説明します。

インビザライン治療でのお約束は意外と面倒くさいかも?

マウスピースは面倒臭い

インビザラインでの治療中には、守っていただきたいことが幾つかあります。これらを守って頂けないと、治療計画通りに歯を動かすことが難しくなり、矯正治療の失敗に繋がりかねません。

1. 1日に22時間装着しなければならない

時計

 

インビザラインは1日22時間装着して頂くことが推奨されています。具体的には、食事中と歯磨きしている間以外はずっとつけたままということになります。

1日に2時間しか外せませんので、食事も所要時間を決めて計画的に行わなければなりません。

1日22時間装着を守れない時は、せっかくマウスピースで動かした歯が少し後戻りしてしまいます。矯正治療でいう後戻りとは、動かした歯が元の不正咬合の状態に戻っていくことをいいます。

装着時間の管理を面倒くさいと感じるかもしれません。

2.飲食の時は外さなければならない

インビザライン

インビザラインは食事の際には外す必要があります。つけたままで食事をすると、硬いものを噛んだ時にアライナーが壊れる可能性があることと、食べ物の色がアライナーについて着色汚れを起こすことがあるからです。

透明な飲み物の場合はアライナーを付けたままで飲んでも大丈夫ですが、コーヒーやコーラなど、色の付いた飲み物の場合は、飲む前にアライナーを外さなければなりません。

飲食する前にアライナーを外すと、以下のような動作が必要になります。

インビザラインを外す→洗う→飲食→歯磨き→インビザラインをつける

自宅にいる時はあまり問題がないのですが、外出時には飲食の前にアライナーを外して洗える場所を確保しないといけません。そして、飲食の後には、歯磨きする場所が必要です。

その場所探しが面倒くさいと感じる可能性があります。

3. 外食の時にインビザラインを外して置き忘れる危険がある

インビザライン・アライナーインビザライン

外食する際に、お店に入って、お店でアライナーを外し、そのまま紙ナプキンに包んで手元に置く時があります。その時に、置き忘れて帰ってしまうという危険があります。

実際に、多くのインビザラインの患者さんが、飲食店にアライナーを忘れて、あわや捨てられかけたという体験をされています。

アライナーの管理は意外と面倒かもしれません。

4. マウスピースを毎日数回きれいに洗わなければいけない

インビザライン アライナーの洗い方

アライナーは外す度にきれいに洗う必要があります。洗わずに再度歯に付けると、細菌がついたままになって虫歯や歯周病や口臭の原因になります。

インビザラインを洗う際の注意

  • 水で洗う
  • 歯磨き粉は使わない
  • 洗った後はよく乾燥させる

5. マウスピースを失くさないように管理しなければならない

インビザライン

 

家でも外出先でも、アライナーを外した時にどこかに置き忘れるということが起こりがちです。自宅にいても、気をつけないとどこかに置いたまま、どこに置いたか忘れてしまうということが起こります。

6. 歯に食べ物が挟まる

歯に挟まる

マウスピース矯正では、歯を動かすスペースを作るために、前歯の両端を僅かに削る場合があります。これをディスキングといいます。歯のエナメル質を少し削るだけですので、痛みはありません。

歯と歯の間に僅かに隙間があきますので、ここに食べ物が詰まりやすくなります。詰まった食べ物は歯ブラシでは取りにくいため、デンタルフロスを使うのが効果的です。

そのため、外食時には、歯ブラシとデンタルフロスを持ち歩く必要があります。デンタルフロスは、使い慣れると歯垢を効果的に落とせるため、ぜひ普段から使用して頂きたいですが、慣れるまでは面倒だと感じるかもしれません。

インビザラインは面倒くさい?

女性インビザラインで治療を受けるうえで、守らなければならない点が幾つもあり、最初は面倒だと感じるかもしれません。しかし、毎日のルーティーンにしてしまえば、慣れてしまいますので、次第にめんどくさいと感じなくなります。

治療のための手間よりも、歯並びが少しずつきれいに変わっていく喜びの方が大きくなる患者さんが殆どですので、ご安心下さいね。

また、インビザラインで治療を始めてから、ご自分が一日に何度も感触をしていたことに気づく方もおられます。ある程度時間を決めて間食を取るようにすれば、規則正しい食生活を送れるようになります。

インビザラインは意外と面倒くさいに関するQ&A

インビザライン治療の成功には、1日22時間の装着が必要とされていますが、これは本当に守らなければならないのでしょうか?

はい、1日22時間の装着は非常に重要です。歯を効果的に動かすためにはこのルールを守る必要があります。装着時間を守らないと治療の進行に支障をきたす可能性が高まります。

外食時のインビザラインの置き忘れを防ぐ方法はありますか?

外食時にアライナーを置き忘れないよう、専用をケースを持ち歩いてマウスピースを外した際にはそこに収納する習慣をつけることが役立ちます。

飲食の前にインビザラインを外す際、洗浄と歯磨きは必要ですか?

飲食前にアライナーを外し、歯磨きと洗浄を行うことは衛生的に重要です。慣れればルーチンとなり、治療の一環として捉えることができます。

まとめ

歯のキャラクター

インビザラインでの治療は面倒くさそう、とお思いの方も、実際に治療を始めてみると、最初は面倒でも、すぐに慣れて毎日の習慣になる方が殆どです。それでもやはり面倒くさいと感じる方もおられますので、ご自身の性格を考えたうえで矯正装置をお選び頂ければと思います。

インビザラインの利用に関する患者の経験と感想についての論文を2件ご紹介します。

1. インビザライン治療の患者経験の予測:人工ニューラルネットワークを使用した分析
この研究は、インビザライン治療の初期段階での患者の経験を予測するための人工ニューラルネットワーク(ANN)を構築しました。痛み、不安、生活の質(QoL)に関するアンケートデータが収集され、入力データには17の臨床特徴が含まれていました。研究結果は、痛み、不安、QoLの予測成功率がそれぞれ87.7%、93.4%、92.4%であることを示しました。これは、インビザライン治療に関する患者の経験(つまり、痛み、不安、QoL)を予測する上で、構築されたANNが良い精度を持つことを示しています。 (Xu et al., 2022)

2. インビザライン治療に関する患者の視点:Twitterでのコンテンツ分析
この研究は、Twitter上のインビザラインに関連する投稿の内容を定性的に記述することを目的としています。分析の結果、治療前の投稿は主に肯定的で、患者の期待を反映していましたが、治療中の投稿では肯定的なものと否定的なものがほぼ同数でした。肯定的な投稿は治療への満足や自尊心の向上に関するものが多かったですが、否定的な投稿は痛み、遵守、食事への影響、発音への影響に関連していました。 (Adobes-Martín et al., 2021)

これらの研究に基づくと、インビザライン治療は患者にとって一定の痛みや不便を伴う可能性があることが示されています。しかし、同時に多くの患者が治療結果に満足しており、自尊心の向上などの肯定的な影響も報告されています。治療の経験は個人差があり、また治療の段階によっても異なることがあります。患者はこれらの要因を考慮し、治療を受ける前に十分に情報を収集することが重要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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