歯列矯正では、歯を動かすための隙間が必要になります。この隙間を作るために、主に5つの方法がありますが、部分矯正で使われるのは、前歯の両側をわずかに削る(ディスキング、ストリッピング)というものです。
部分矯正で歯を削ることについてご説明します。
目次
部分矯正は前歯2本~8本程度を動かして歯並びを整えます
部分矯正で歯並びを整えるために移動できるのは主に前歯2本~8本程度です。歯を動かすためのスペースは、ディスキングで歯を削って出来るスペースのみとなります。そのため、歯の重なりが大きい場合や、八重歯、重度の出っ歯、受け口などの治療は、部分矯正では行うことが出来ません。
部分矯正で歯を動かすための隙間を作る方法
歯列矯正で歯を動かす時には、歯を動かすためのスペースが必要です。
歯全体を動かす全顎矯正では、スペースを作るために抜歯をしたり、歯列を横に広げたり、歯全体を後ろに移動させたりします。
気になる前歯の歯並びを部分的に治す部分矯正では、歯の両端を削るディスキング(スライス、ストリッピング)を行ってスペースを作るのが一般的です。
ディスキング(スライス、ストリッピング)のやり方
歯を動かすスペースを作るために、歯の両端を削ります。エナメル質の分厚さは個人差がありますが、1ミリ~1.5ミリほどあり、ディスキングで削るのはそのうちの0.25~0.5ミリ程度です。
エナメル質が薄くなりすぎると、知覚過敏を起こして痛みが起こりますが、ディスキングではごく薄く削るだけで、削りすぎることはありません。そのため痛みはありませんのでご安心ください。
ディスキングで歯を削るデメリットについての質問
歯を削ったら痛くないの?
ディスキングでは1.5ミリの厚さのエナメル質の内の0.25ミリ~0.5ミリしか歯を削りませんので、削る時に痛みは出ませんし、削った部分が知覚過敏になる心配もありません。
歯を削ったらそこが虫歯になりやすくならないの?
ディスキングで歯を削った部分はザラザラで、汚れがたまりやすくなります。そのため当院では削った部分を磨いて滑らかな面にしますので、虫歯のリスクは低くなります。
歯を削ることで歯周病になりやすくならないの?
ディスキングで歯を削って出来たスペースだけ、歯を動かしていきます。そのため、歯を動かした後は、隣の歯との間が少し狭まり、間にある歯槽骨が少し薄くなります。このことが若干歯周病になりやすくなると考えられています。
まとめ
ディスキング(スライス、ストリッピング)では、歯のエナメル質部分をほんの少し削って、歯を動かして歯並びを整える為のスペースを作ります。
矯正治療のためにディスキングで削るのは0.25ミリ~0.5ミリくらいで、数本削って合計で2~3ミリ程度の隙間を作ります。歯の重なりが大きいなど、それ以上に歯を動かす必要がある場合は、抜歯を伴う矯正となり、部分矯正ではなく全顎矯正となります。