部分矯正

口ゴボは部分矯正で治る?

口ゴボは部分矯正で治る?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

部分的に気になる部分を治す部分矯正では、主に前歯8本の歯列を治します。口元が前にこんもりと出ている口ゴボの場合は、部分矯正で治るかどうかご説明します。

口ゴボは部分矯正で治る?

部分矯正は主に気になる前歯の歯列だけを治すことが多く、治すことが出来るのは前歯8本程度です。歯列をきれいにするには、歯を動かすためにスペースが必要です。

全体矯正では小臼歯を抜歯してスペースを作りますが、部分矯正では前歯の両端を0.25~0.5ミリ程度削ってスペースを作ります。これをディスキング(スライス)といいます。

部分矯正の場合は歯を動かすスペースが僅かしか得られないことから、歯を3ミリ程度動かして歯列がきれいになるくらいの軽い不正咬合の場合に適用されます。そのため口ゴボの方の不正咬合が、重度の出っ歯や受け口である場合は、部分矯正では治すことが出来ません。

また、歯列はきれいでも口ゴボで口元の突出感がある場合、顎の骨格の過成長が原因であることが多いため、外科矯正の適用になることがあります。

口ゴボが部分矯正で治らない理由とは?

口ゴボや上下顎前突は、口元の骨の構造に関わる問題です。これらの問題は、単に歯を動かすだけでは解決しないことがあります。部分矯正がこれらの問題を解決できない理由には、いくつかの要因があります。

1. 骨格の問題

上下顎前突は、歯だけでなく顎の骨そのものが前方に突出しているために起こっていることがよくあります。このような骨格の問題は、部分矯正では対応できません。部分矯正は主に前歯などの気になる一部分の歯の位置を調整するためのものであり、骨格の構造を変えることはできません。

2. 顎の成長に関する問題

子供の場合、顎の成長が完了していない状態で部分矯正を行っても、顎の成長パターンによっては問題が解決されない可能性があります。顎の成長が原因である場合、成長が止まるまで待つか、成長を考慮に入れた特別な治療計画が必要になります。

3. 全体的な噛み合わせのバランス

口ゴボや上下顎前突のような問題は、全体的な噛み合わせのバランスと深く関連しています。部分矯正では、特定の歯だけを対象とするため、全体的な噛み合わせのバランスを整える治療が行えない可能性があります。全体的な噛み合わせを改善するためには、全顎矯正が必要になることが多いです。

4. 見た目だけでなく機能的な問題がある

部分矯正は、比較的軽度な歯並びの問題や特定の歯に対する小さな調整を目的としています。口ゴボや上下顎前突のような複雑な問題は、単に見た目を改善するだけでなく、機能的な問題も考慮に入れる必要があります。

これらの理由から、口ゴボや上下顎前突のような問題を解決するためには、通常、総合的な診断が必要となり、部分矯正ではなく全体矯正(全顎矯正)や外科手術を含む治療計画が必要になる場合が多いです。個々の状況に応じて、専門の矯正歯科医や口腔外科医と相談することが重要です。

口ゴボとは?

口ゴボは横顔を見ると口元全体がもっこりと前に出ているタイプの上顎前突(出っ歯)の状態をいいます。歯だけが前に出ているのではなく、上顎の骨格が前に出ているために、上顎全体の突出感があるのが特徴です。

口を閉じにくく、無理に口を閉じると下顎に梅干しのような皺が出来ます。

口ゴボは病気ではありませんが、見た目のコンプレックスを抱えている方が多く、上顎だけでなく下顎の骨格も前に出ているケースもあります。

https://www.osaka-kyousei.com/nayami/deppa.html

どうして口ゴボになるの?

口ゴボは上顎、下顎の骨格が過成長していることが多く、その原因は骨格の先天的な遺伝によるものの他、おしゃぶりや指しゃぶりなどの癖によるものが考えられます。

癖によるものは、癖を治すことで口ゴボの悪化を食い止めることも可能です。

口ゴボの治療方法は?

口ゴボは基本的に部分矯正では治せません。それでは、全体矯正をすれば治るのでしょうか? 口ゴボを治すための方法を2種類ご説明します。

抜歯を伴ったワイヤー矯正

ワイヤー矯正

前歯が傾いていて突出している場合は、小臼歯を抜歯して出来たスペースを利用して、ワイヤー矯正で前歯を後ろに下げます。前歯の角度を変えながら前歯を後ろに下げますので、突出感はかなり減ります。

https://www.osaka-kyousei.com/kyousei1.html

外科矯正(セットバック手術)

セットバック整形前後

出っ歯の矯正をしても口もとが前に出ている印象があり、もう少し引っ込めたい場合は、外科矯正を行って骨格にアプローチします。
どちらの方法がより患者さんに合っているかは、精密検査をして、矯正担当医が、どれだけ患者さんの前歯を下げる必要があるかを診断し、治療計画をたてます。

https://www.osaka-kyousei.com/ope/setback_ue.html

口ゴボは部分矯正で治るのかに関するQ&A

Q

口ゴボは部分矯正で治る可能性はありますか?

A

口ゴボは軽度の不正咬合の場合には部分矯正で治る可能性がありますが、重度の出っ歯や受け口の場合は部分矯正では難しいです。

Q

口ゴボの原因は何ですか?

A

口ゴボの主な原因は上顎や下顎の骨格の過成長で、遺伝的要因やおしゃぶりなどの癖も関与する可能性があります。

Q

口ゴボの治療方法は何ですか?

A

口ゴボを治す方法として、抜歯を伴ったワイヤー矯正と外科矯正があります。治療方法は症例に応じて選択されます。

まとめ

歯のキャラクター

口ゴボの場合、口元全体がこんもりと前に盛り上がっていますので、部分矯正で歯を内側に向けただけでは、あまり効果が期待出来ません。

小臼歯の抜歯をしてワイヤー矯正をするか、外科矯正(セットバック)を行うと、横顔の輪郭やeラインがきれいに整います。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

▶プロフィールを見る