部分矯正

10万円でできる部分矯正にリスクはないの?

10万円でできる部分矯正ってどう思いますか?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

「部分矯正を10万円で開始できる!理想通りの歯にしましょう!」という案内広告を見かけることがあります。不正咬合で歯列にお悩みの方には魅力的な費用ですよね。

しかし、果たして10万円の治療で、満足のいく治療結果が得られるのでしょうか? 10万円程度の低価格で出来る部分矯正についてご説明します。

▼部分矯正についてはこちらで詳しく解説しています。
https://www.osaka-kyousei.com/kyousei5.html

部分矯正の基礎知識

部分矯正の目的と特徴

全体的な歯列矯正と異なり、部分矯正は見た目の改善や特定の歯の問題を解決することを目的として行います。一部分の歯を動かすだけですので、治療期間や費用を抑えることができる場合が多いです。

部分矯正が適用されるケース

  • 前歯の軽度な不正咬合・・前歯の歯並びが少しだけ悪い場合、またはすき間がある場合など。
  • 再治療・・全体矯正を終えて数年経って、一部の歯が再び動いて歯列が乱れて来た場合。
  • 限定的な目的・・前歯1本が捻じれているなど、特定の歯にだけ矯正治療が必要な場合。

部分矯正のメリット

  1. 短期間で治療が終わる・・全体矯正に比べて歯を少ししか動かさないため、治療期間が短いことが多いです。
  2. 費用が抑えられる・・動かす歯が少ないため、全体矯正に比べて費用が少なく済みます。
  3. 生活への影響が少ない・・治療範囲が限られているため、矯正装置の違和感が少なく、日常生活への影響が軽減されます。

部分矯正のデメリット

  1. 全体のバランスが取れないことがある・・部分的に矯正を行うと、全体の噛み合わせや歯列のバランスに影響を与える可能性があります。
  2. 期待する結果が得られない場合がある・・対象範囲が限られているため、患者さんの望む完璧な結果を得られないこともあります。

10万円で本当に部分矯正ができるのか?

お金のイメージ歯科矯正は保険がきかない自由診療なので、料金が高いというイメージがあります。前歯などの気になる部分のみの歯並びを治す治療を部分矯正といいますが、いくら部分的な治療とはいえ、10万円での部分矯正は現実的に可能なのか、デメリットはないのかという疑問が浮かびます。

あまりに安い価格の矯正治療は、一般的な部分矯正よりも更に歯を動かせる範囲が狭く、実際にカウンセリングを受けてみると、殆どの方が部分矯正では治療できないと言われ、全体矯正を進められるということも考えられます。

また、部分矯正自体は確かに10万円の費用で受けられるけれど、通院の度に数千円の調整費がかかったり、後戻り防止の保定装置代数万円が別に設けられているケースもあります。

「10万円かけて矯正したけど、歯並びがあまり治らなかった」「治療後数か月たったらまた歯並びが悪くなってきた」などと後で悔やむリスクを避けたい場合は、担当する医師が的確な診断が出来るか、医院の症例数の多さ、矯正認定医が在籍しているか、院内で対応するスタッフの雰囲気は良いか、などを目安に、何院か比べて検討すると良いでしょう。

部分矯正は誰でも出来るの?

部分矯正は歯科医院によっては10万円という低価格で可能かもしれません。しかし、部分矯正は残念ながら全ての矯正希望の方に可能なわけではありません。では、部分矯正とはどのような方が対象になるのでしょうか。

当院で部分矯正の対象となるのは、歯の少しの重なり(叢生)や、すきっ歯(空隙歯列)、部分的な出っ歯(前突)等のごく軽度な不正咬合の治療です。

部分矯正で治療が難しい場合の主な理由は、下記のようなものです。

  1. 重度の不正咬合(重度の出っ歯、受け口、ガタガタ、八重歯など)である
  2. 上下の顎の骨格的なずれが大きい
  3. 舌の癖によって開咬になっている
  4. 奥歯の噛み合わせの治療が必要な場合

八重歯や出っ歯の場合にも、歯をどの程度動かす必要があるかで、部分矯正で治療が可能な場合と全体矯正になる場合に分かれますので、矯正相談の時に担当医にご相談下さい。

「前歯が2本だけ気になるので、部分的に治療を行いたい」という方の場合、軽度の重なりやガタガタ、軽度の出っ歯の場合は部分矯正が可能かもしれませんが、歯の重なりが大きかったり、出っ歯の程度が中~重度の場合は部分矯正では治せません。

また、ご本人は前歯のみが気になっていても、奥歯のかみ合わせが悪く、歯を全体的に動す治療(全体矯正)が必要な場合もあります。実際に歯科医師が診断してみないことには、ご希望通り部分矯正で治療出来るかどうかはわからないということになります。

10万円の部分矯正を選ぶ場合はリスクがあるかもしれないということを知っておこう

女性

矯正治療の費用が極端に安い場合はリスクがある可能性があります。しかし、安さが全てとおっしゃる方であれば、10万円で部分矯正が可能な医院を選択されても良いと思います。

ただ、他に諸経費がかかる場合がある、担当医が矯正の経験のあるドクターではない場合がある、本来は歯全体を動かさなくては治らない症例なのに無理矢理部分矯正で治そうとすると思っていた結果が得られない場合がある、等のリスクの可能性をしっかりと踏まえたうえで治療をなさってください。

安全に矯正治療を受けるためには?

リスクは避けたいし、メンテナンスやホワイトニング、歯磨き指導など予防歯科の為の通院も希望される方には、安心して治療を一任できる医師、認定医や症例数が多い医院、カウンセリング時の雰囲気が良かった医院、等に加えて、予防歯科や他の診療科もある歯科医院を選択されると良いでしょう。

部分矯正で歯並びがきれいになれば歯磨きがスムーズに行えるようになるため、虫歯や歯周病にかかるリスクが減ります。そして何より見た目が変わり、堂々とお口を開けて笑うことが出来るようになります。

10万円でできる部分矯正に関するQ&A

Q

部分矯正の平均的な価格帯はどれくらいですか?

A

部分矯正の価格は歯科医院によって異なりますが、平均的な費用は20~40万円程度とされています。ただし、追加の調整費用や保定装置代が別途かかる場合もありますので、詳細な見積もりを確認することが大切です。

Q

10万円での部分矯正を選ぶ際のリスクは何ですか?

A

安価な部分矯正を選ぶ場合、通院回数ごとに調整費用が加算されたり、保定装置代が別途必要なケースがあります。また、担当医が矯正専門家でない可能性や、他の諸経費がかかることもあります。リスクを理解した上で選択することが重要です。

Q

部分矯正の対象となる不正咬合はどのようなものですか?

A

部分矯正の対象となる症状は、歯の少しの重なりやすきっ歯、部分的な出っ歯などの軽度な不正咬合です。重度の不正咬合や顎の骨格的なずれが大きい場合などは、部分矯正が難しいケースもあります。

まとめ

歯のキャラクター

今回は10万円で行える矯正治療について、メリット・デメリットをご説明しました。安すぎる部分矯正には、どのようなデメリットがあるかしっかり把握し、ご納得の上でしたら、何も問題はありません。矯正治療をお考えの方は、ぜひ一度カウンセリングで詳しい話を聞いてみてください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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